「チョコレートとEU」

「チョコレートとEU」
EUでは、人、モノ、サービス、資本の移動が自由に出来るようつねに調整が続けられている。そのため、既存のやり方をEUという枠組みの中で変更せざるを得ない事態に直面することがしばしばある。
 
カカオは、今ではチョコレートの原料だが、かつてはココアの原料として用いられていた。
ココアは水に溶かせて飲むために、水に溶けやすくするためにかカカオの持つ脂分を取り除かなければならない。ココアを飲みやすくするために取り除かれた脂分はココアバターと呼ばれた。
ところが、イギリス人が、ココアバターに砂糖を大量に入れて食べると非常に美味しいことに気づいた。これが、チョコレートの原型となった。
その後、ベルギー人が多数チョコレート職人になりチョコレートの生産はベルギーに移った。ベルギーで高められたチョコレート生産は、ココアバター100%の純度の高いものに進化していった。
現在でもベルギーのGODIVA社はチョコレートメーカーとして高い評価を受けている。
ところが、1973年、イギリスがEC(ヨーロッパ共同体)に加盟したときトラブルが発生した。イギリスを始めとした多くの国では、チョコレートを生産するのにカカオバターに他の物を混ぜて作っていた。チョコレートは100%ココアバターで生産し、100%でなければチョコレートと呼ばないベルギーとの間に摩擦が生じた。長年の論議の末、ベルギーが折れて、現在はココアバター100%でなくてもチョコレートと呼ぶようになっている。
 
同じようなことが、ビールでも起きた。ドイツでは、ビールはビールであり純粋なモノでなければならない。
ところが、ドイツ以外の国は、ビールにそこまでの思い入れを持っていないためEUでは、ビールは純粋なものでなくても良いことになって、ドイツの思い入れは破棄されている。
EUにおける人・もの・サービス・資本の移動を自由にするということは、このような統一を必要とし、各国の価値観が調整され考え方を改めていかないと混乱が生じる。