「大航海時代がもたらした世界規模の食卓革命」

「大航海時代がもたらした世界規模の食卓革命」
 
 大航海時代に新大陸への航海者たちが持ち帰ったもののなかで、旧世界の暮らしや文化に極めて大きな影響を与えたのがトウモロコシ、トウガラシ、ジャガイモ、トマト、カボチャなどアメリカ原産の作物だ。いずれも、今や、私たちの食卓に欠かせない重要食材だ。
   トウモロコシはコロンブスが持ち帰ってわずか数年のうちにスペインで栽培され始めた。16世紀初めにはインドや中国に伝わり、その後、アフリカ、中東、東南アジアまで広く普及する。熱帯でもよく育つため、アフリカなどではやがて主食の地位を占めるようになった。
   トウガラシも、急速に世界に普及した作物だ。やはり16世紀初めにインドに伝わり、間もなく東南アジアや中国にも伝わる。日本に渡来したのは新大陸発見から半世紀ほどの16世紀半ば。当時の交通事情を考えれば極めて早い。
  世界の辛い料理を代表するカレーもキムチもトウガラシの伝来で革命的に変化した伝統料理で、それ以前はインドでは胡椒、朝鮮半島では山椒が香辛料として主に使われていたらしい。
   普及が遅れたのはジャガイモだ。これは当時のヨーロッパにイモ類を食べる習慣がなかったためで、およそ100年後には、寒冷地や痩せた土地でよく育つ栄養豊富なジャガイモは飢饉に悩むヨーロッパ諸国に急速に広まる。
   トマトやカボチャも、世界各地の伝統料理に見事に溶けこんだ食材といえる。一方、小麦やニンジン、キャベツなど、旧大陸から新大陸にもたらされ大いに普及したものもある。
  人類史の重要な転換点となった大航海時代は、世界的規模で食文化に一大革命が起こった時代でもあった。