ギリシャ 債務不履行

<ギリシャ人は、いつから「怠け者」になったのか>
  「アリとキリギリス」――欧州債務危機におけるドイツとギリシャの関係は、イソップ寓話に例えて語られることがある。ドイツ人は、コツコツとまじめに働くアリで、ギリシャ人は遊んでばかりいる怠け者のキリギリスというわけだ。
 
ギリシャは長年の放漫財政によって、結果的にデフォルト(債務不履行)を起こした。欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から支援を受ける条件として、厳しい緊縮財政を強いられている。イソップでは、キリギリスは冬になってアリに食べ物を恵んでくれと頼んだところ断られたが、ギリシャは助けてもらっている。しかし、それでも緊縮策の影響で、市民の生活は困窮している。
 
公務員の削減や賃金カット、年金受給年齢の引き上げ、付加価値税の引き上げなどの構造改革で財政再建を目指しているが、景気後退は今年で5年目に突入しており税収は減る一方だ。民間では過去2年の間に約60万人が職を失い、3人に1人が貧困層に転落している。
 
 アテネ市内を歩くと、シャッターを下ろしたままの店の多さに驚かされる。実に、アテネの事業者の4分の1は閉店状態にあり、その比率は今年中に3分の1にまで上昇しそうな勢いだ。
 
EU加盟と社会主義政権の誕生で「怠け者」に>
働き者だったギリシャ人は、今や「怠け者」というレッテルが貼られてしまった。その原因は、どうやらギリシャを同時に襲った2つの歴史的な変化にありそうだ。その変化とは、1981年のEU(当時はEC)への加盟と社会主義政権の誕生である。
 
ギリシャは歴史的に、辛い過去を背負ってきた。トルコから独立しても、今度はナチスに支配され、それに続く内戦によって国家は完全に破壊されてしまった。そのギリシャが81年に、ようやくEU加盟を果たした。その時、多くのギリシャ人は、「これまで散々、苦労してきた。もう十分だろう。これからは人生を楽しもう」と考えるようになった。
 
「人生を楽しもう」という国民感情は前向きなもので、その考え自体が「怠け者」を生みだすわけではない。むしろ、国作りの原動力にもなり得たはずのものだ。だが、その感情は政治家によって間違った方向に向けられてしまった。
 
 ギリシャは81年以降、「EU加盟国」という信用力を背景にして、従来よりも低い金利で資金を調達できるようになっていった。その市場環境を活用して国民を懐柔するかのような政策を推進したのが、社会主義政党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)だった。「PASOK81年に政権につくと、借金で調達したカネを国民に分配するという安易な政策を推進した。EU加盟と社会主義政権の誕生という2つの出来事が不幸にも重なり、雪だるま式に問題が大きくなってしまった。
 
「政権交代のたびに公務員の数が膨れ上がった」
 PASOKが政権を奪ってから、公務員の過剰採用を始めた。PASOKの支持者を優先的に公務員に雇った。自らの支持者を公務員に取り込んでいったのは、PASOKだけではない。他の政党も政権交代を実現すると、自党の支持者を新たに公務員に雇い入れた。結局、政権交代をするたびに、公務員の数は膨れ上がっていった。
 
公務員は、どれだけ働いても、基本的に給料は一緒である。それが、日本では、国営企業の民営化にシフトした。
ギリシャは国営企業の民営化を怠ったがために、デフォルトという泥沼にはまったといえる。
イメージ 1
イメージ 2