「唐辛子」

「唐辛子」
ナス科の植物・唐辛子には様々な品種があり、代表的な種であるトウガラシ以外にも
ピーマン、シシトウガラシ(シシトウ)、パプリカなど辛味がない甘味種もある。
 
 
トウガラシは中南米・メキシコが原産地であり、歴史は紀元前6000年にさかのぼる。しかし、世界各国へ広がるのはコロンブスの新大陸発見からである。
 
 
「唐辛子」の漢字は、「唐から伝わった辛子」の意味であるが、
唐辛子を日本に伝えたのはポルトガルであり、1543年、種子島に鉄砲が伝来し
以後、日本を訪れるようになったポルトガル人宣教師が戦国大名・大友義鎮に献上したと記録がある。日本に伝来した初期は食用として用いられず、観賞用や毒薬、足袋のつま先に入れて霜焼け止めとして用いられた。
 
 
英語では「チリ(chili)」または「チリ・ペッパー (chili pepper)」と言う。
胡椒とは関係が無いにも関わらず「ペッパー」と呼ばれている理由は、
ヨーロッパに唐辛子を持ち帰ったクリストファー・コロンブスがアメリカを
インドと勘違いして、唐辛子をインドで栽培されている胡椒の一種と見なしたためである。
 
コロンブスは、唐辛子を胡椒と勘違いしたままだったので、これが後々まで、
世界中で唐辛子(red pepper)と胡椒(pepper)の名称を混乱させる要因となった。
 
 
唐辛子は、胡椒などの他の香辛料と同様、料理に辛みをつけるために使われる。
また、健胃薬、凍傷の治療、育毛など薬としても利用される。
 
緑から赤へと熟していく唐辛子の果実は緑のままでも食べることが出来る。
一般に、緑色のものは青唐辛子、熟した赤いものは赤唐辛子と呼ばれる。
 
ビタミンAとビタミンCが豊富なことから、夏バテの防止に効果が高く、
また殺菌作用があり食中毒予防の効果が期待できるため、特に暑い地域で使われている。殺菌のほかに除虫の効果もあり、園芸では他の作物と共に植えて虫害を減らす目的で栽培されたり、食物の保存に利用される事もある。
 
生のまま食べる場合と、乾燥した後に使う場合とがある。
日本国内で入手できる青唐辛子は生のものを加熱することで辛味が甘味に変化し、
乾燥した唐辛子では加熱すると辛味が増す傾向にある。
 
唐辛子の辛味成分はカプサイシンである。
この辛さは刺激が強く人により好みがある。
粘膜を傷つけるため、適量を超えて過剰に摂取すれば胃腸等に問題を起こすこともある。ただし日本で料理に唐辛子が多く使われるようになったのは比較的最近のことである。
1980年代以降、エスニック料理が浸透し、「激辛ブーム」などが起こる以前は、
薬味や香り付けに一味唐辛子や日本特有の七味唐辛子が少量使われる程度であった。
市販のカレーも現在ほど辛口の商品が多くはなかった。
 
インドやタイ、韓国などの唐辛子が日常的に使われる国・地方では、小さい子供の頃から徐々に辛い味に慣らしていき、胃腸を刺激に対して強くしている。
一方で日常的に使う習慣のない場合は、味覚としての辛味というよりも「痛み」として認識され、敬遠される。
 
唐辛子を積極的に摂取する地域は、メキシコや西アフリカ、中国の四川省・湖南省など
夏に暑い地域が多く、発汗を促し暑さ負けを防ぐためであるといわれている。
 
 
唐辛子の過剰摂取と発癌の関連性が指摘されており、唐辛子を多く摂る国は胃癌や食道癌の発癌率が高いといわれている。
 
ヨーロッパでは、純輸入品の胡椒に代わる自給可能な香辛料として南欧を中心に広まった。16世紀にはインドにも伝来し、カレーにも香辛料として用いられるようになった。
 
キムチが国民食となっている朝鮮に唐辛子が伝わったのは、
1592年、豊臣秀吉が朝鮮出兵を命じたことによる。
 
1613年の朝鮮文禄『芝峰縲絏』には「倭国から来た南蛮椒には強い毒が有る」と書かれ、1614年の『芝峰類説』では「南蛮椒には大毒があり、倭国からはじめてきたので、俗に倭芥子(倭辛子)というが、近ごろこれを植えているのを見かける」と書かれている。
 
唐辛子のもつ激辛が、朝鮮では当初「毒」と認識されながら
やがてキムチに発展していったことがおもしろい。
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